ティンパニ修理①
メーカー・品番
ヤマハTP526C/TP529C/TP532C
インチ数
26インチ/29インチ/32インチ
要望及び症状
- ペダル動かすのが重たい(ゴリゴリした感触がある)
- ヘッドをいつ換えたのかわからない位換えていない(少なくとも6年)
- 叩いていると音程が変わる
修理代金
一台につき34000円(税抜)~38000円(税抜)
※使用するヘッドによって金額は、上下します。(今回は、ヤマハの700シリーズを使用)
修理時間
一台につき2時間~3時間と後日再チューニング及びチェック15分
交換部品及び大まかな修理内容
- ヘッド交換
- バランステンションロッド集成交換
- クリーニング
- バランス調整
- その他各所調整
修理内容詳細
各所チェック
音域が基準より明らかに広ければバランス調整で音域を狭くする
※音域が広すぎるとペダルの踏み心地が非常に重く悪くなる事があるので
音域が狭い場合は、バランス調整で音域を広くする
※ペダルが重くなることが考えられる
分解及びクリーニング
- チューニングボルト,ヘッド,フープ,ケトルを外す
- 埃や古いグリスを取り除く
作業後
本体をひっくり返す
- テンションボルト,バランステンションロッド集成を外す
- 埃や古いグリスを取り除く
- 新しいバランステンションロッド集成を取り付ける
作業後
スパイダーロッドの長さを均等にする
スパイダーロッドとは・・・画像の中心から8本出ている細い棒の事
長さがちぐはぐだとダメな訳・・・ちぐはぐだと最低音でしっかりチューニングをしてもペダルを踏んで音程を上げていくと各チューニングボルト付近の音程のずれが出て音が濁る
本体をひっくり返してケトルを載せる
- エッジテープが擦れていたり剥がれているところがあれば貼りかえる
※エッジテープとは・・・ケトルのふちに貼ってある白いテープ
新しいヘッドを乗せてチューニングをする
- ヘッドに少しテンションが掛かる位までチューニングボルトを締める
- ヘッドとフープの位置を中心に来るように微調整する
- チューニングボルトを受けている部品の角度を基準の角度に全部揃える
※角度が揃っていないと最低音をしっかりチューニングしても音程を上げていくと音程のズレが出てきて音が濁る
-
最低音にくるまでチューニングボルトを締めて音程を上げる
- テンションボルトをヘッドとのバランスが取れる所まで締める
最高音とペダルの踏み心地を確かめる
- 最高音が基準まで出るか確認する
- ペダルの踏み心地が重くないか重さが一定か確認する
音域が狭かったりペダルの踏み心地が重かったら
- もう一度ヘッド,フープ,ケトルを外して本体を裏返す
- 音域を狭くするか広くするか症状に合わせて対処する
※スパイダーロッドの本体からの距離を近くしたり遠くにしたりする事によって音域の調整が可能
後日再チューニング
- ヘッドは、張ったばっかりだとすごく伸びるので(音程が下がっていく)日をおいて再度訪問してチューニングします
- 全体のチェックをしておしまい
ヘッドの交換時期
基本は、毎年変える事ができればすごく良いです。
ただ、予算の都合もあると思うので最低でも3年に1回張り替えると良いです。
※交換をしないとヘッドの柔軟性がなくなって良い音がしません。
バランステンションロッド集成の交換時期
メーカーの推奨は、3年に1回変えて下さいとの事です。
ただ、予算の都合があると思うので最低でも6年に1回交換すると良いです。
※交換をしないと音には、影響がありませんがペダルの踏み心地がすごく悪くなっていきます
お客様にして頂きたい事
- 楽器を使う日は、最低音のチューニングをきっちりしてもらう
- チューニングボルト以外のネジやボルトは、いじらないで下さい
- チューニングをきっちりしてもペダルが勝手に動いてしまう事があれば楽器屋さんを呼びましょう
お客様に確認してもらいたい事
- チューニングゲージが狭い範囲に偏っていないか(偏っていたら、ヘッドがへたっている)
- 最低音をしっかりチューニングしてもペダルを踏むと音がズレないか(音が濁るようなら調整が狂っている)
- ペダルが重かったりゴリゴリしないか(違和感があれば、調整が狂っているかバランステンションロッドがへたっている。もちろん両方もあります。)
チューニングゲージが偏っている例
良い状態の例